最近共働き世帯が増えている実感はありませんか?
本ページでは国が公表している世帯に関する統計を紹介し、そこから最近の社会の変化を考察します。
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参考にした統計
共働き世帯に関する統計は、内閣府男女共同参画局が公表している『男女共同参画白書』が参考になります。
男女共同参画社会とは「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」(男女共同参画社会基本法第2条)を指します。
内閣府男女共同参画局は、男女共同参画社会を推進するための広報活動を行っている内閣府が所管するホームページです。
本ページのグラフは全て平成30年版の男女共同参画白書からの引用です。
共働きに関する統計
共働き世帯数の推移
こちらのグラフから、平成12年を境に専業主婦世帯と共働き世帯が完全に入れ替わって、共働き世帯が多くなっていますね。
平成29年時点で共働き世帯数は専業主婦世帯数のほぼ2倍
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化
「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方に反対する人(「反対」+「どちらかといえば反対」)の割合は,男女とも長期的に増加傾向です。
女性側で反対が賛成(「賛成」+「どちらかといえば賛成」)の割合を上回ったのは、平成14年。その後は常に賛成の割合が大きいです。
男性側は、なんと直近の平成28年の調査で反対の割合が賛成の割合を初めて上回っています。男性側の旧態依然とした意識が読み取れます。
子供の出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴
女性の働き方で重要になってくるのが出産です。上記のグラフから、第1子出産前後に女性が就業を継続する割合が上昇していることが見て取れます。特にこれまでは4割前後で推移してきましたが、直近の調査では53.1%に上昇していますね。
一方で、育休なしで就業継続している女性も10%いらっしゃることも分かり、びっくりしました。
6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり、国際比較)
6歳未満の子供を持つ日本人の夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は1時間23分で、他の先進国と比較して低水準です。共働きが進んでいる北欧のスウェーデンやノルウェーでは3時間を超えています。
よく言われることですが、日本人男性の家事・育児への意識の低さが見て取れます。共働きであるならば本来家事・育児も分担すべきですが、実際は妻側に負担が偏っているということですね。
6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連行動者率
1日当たりの行動者率で見ると,共働きの世帯で76.7%,専業主婦世帯で86%の夫が「家事」を行っていません。
また、共働きの世帯で69.0%,専業主婦世帯で70.4%の夫が「育児」を行っていません。「家事」「育児」で妻が孤立していることが伺える心配なデータです。
保育所等待機児童数と保育所等定員及び放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数の推移
男女とも仕事と育児を両立できるようになるためには、保育所や放課後児童クラブ等の存在が欠かせません。厚生労働省によると,平成29年4月1日現在の保育所等定員(保育所及び幼保連携型認定こども園等の定員)は約274万人で,前年比で10万人しています。また,このグラフにはありませんが、同年の放課後児童クラブの登録児童数は約117万人で,前年比で約7万8千人増加しているようです。
つまり、施設側の定員は頑張って増やしていることが分かります。
一方で、待機児童はどうでしょうか。
保育所等や放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数の推移を見ると,年により増減はありますが、ここ数年で高止まり傾向にあることが分かります。共働き世帯の増加による預けたい子供の数の増加スピードに比べて、受け入れ施設の準備スピードが遅れているということですね。
平成29年の具体的な数字で取り上げると、前年に比べて保育所等の待機児童数は約2,500人の増加で26,081人、放課後児童クラブの利用を希望するが利用できていない児童数は約30人の減少で17,170人となっています。
まとめ
いかがでしたか?上記で見てきた統計をまとめます。
- 平成29年時点で共働き世帯数は専業主婦世帯数のほぼ2倍
- 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考えについて、男女ともに反対の割合が賛成の割合を平成28年に初めて上回った
- 6歳未満の子供を持つ日本人の夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は1時間23分で、他の先進国と比較して低水準
- 平成29年の保育所等待機児童数は,前年に比べて増加し,放課後児童クラブの利用を希望するが利用できない児童数は,前年に比べてやや減少した。
一方で、これらのグラフから以下のような問題点が浮かび上がってきます。
- 共働き世帯は確実に増加している一方で、家事育児の負担は妻に偏っている
- 国は男女共同参画を推進し、保育園等の整備・供給を進めているが、まだまだ子供を預けたいという需要に追い付いていない
共働き夫婦が充実した生活を送るためには、家事・育児のバランスを夫婦間でしっかりと話し合って決めると共に、更なる国の子育て政策の充実が望まれますね。
共働きを成功させるにはコツを学べる書籍です。