共働き世帯が多くなり、「パワーカップル」という言葉が良く聞かれるようになっています。
本ページでは、「パワーカップル」の特徴について、前の投稿よりもより詳しく、具体的には保有する金融資産や居住形態等を中心に解説します。
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参考にした統計データ
前の投稿と同じく、ニッセイ基礎研究所のレポートを参考にし、ニッセイ基礎研究所が実施した調査データを基に解説します。詳細は以下のとおりです。
生命保険加入実態等に関する調査。調査対象は20~69 歳の男女、インターネット調査、2016 /12 実施、調査機関:株式会社日経リサーチ、有効回答6,296、うち今回の分析対象は810(配偶者のいる女性で本人と配偶者の職業が民間企業・団体の正社員・正職員、経営者・役員、嘱託・派遣・契約社員、公務員、パート・アルバイト、自営業・自由業のいずれか
「パワーカップル」世帯の動向(2)-年収700万円超の妻はDINKSだけでなく、出産前後の30歳代や子育て中もキャリアを積み続けた50歳代のDEWKSでも多い
また、本ページにおける「パワーカップル」の定義も前の投稿と同じく「夫婦とも年収700万円超は共働き世帯」としています。
共働き妻の年収三区分で見た世帯金融資産の分布
まず、共働き妻の年収三区分(300万円未満、300~700万円未満、700万円以上)で見たときの世帯金融資産の分布をみてみます。
本調査において、全体では1,000万円以上は34%。妻の年収が上がる程、基本的に金融資産も多くなっています。特に、「パワーカップル」と見られる700万円以上の区分ではなんと、64.7%が1000万円以上を保有しています。やはりというか、当然ながら「パワーカップル」は年収が高い分、保有する金融資産も多くなっていますね。
共働き妻の年収三区分で見た居住形態の分布
次に、共働き妻の年収三区分(300万円未満、300~700万円未満、700万円以上)で見たときの居住形態を見てみます。持ち家なのか、賃貸なのか、一軒家なのか、マンションなのか?ということですね。
凡例の持ち家(集合住宅)がマンション住まいです。
面白い点として、先ほどみた世帯金融資産と異なり、持家率は妻の年収に比例していないことが分かりますね。これは、共働きといっても出産・育児を境に働き方を柔軟なものとした40代以上の方が多いことが背景にあるように推測されます。40代以上の方ですと、出産・育児の前後で持ち家を購入している方も多いですしね。
さて、年収700 万円以上の妻に注目すると、持ち家(集合住宅)、つまりマンション保有の割合が高いことが分かります(27.9%)。
経済的余裕感の分布
次に、経済的余裕間の分布を見てみます。
共働き妻の年収三区分(300万円未満、300~700万円未満、700万円以上)別
当たり前の結果ですが、やはり年収が高ければ高いほど経済的な余裕があるという結果になっています。
世帯金融資産別
世帯金融資産別に見たときでも、世帯金融資産が多いほど経済的余裕感は強いという当たり前の結果。
居住形態別
一方で、居住形態別に経済的余裕感を見たところ、持ち家かどうかと経済的余裕感は必ずしも比例していない。余裕層は「社宅、官舎」(63.0%)で最も多いのが特徴的。それと同時に、「まったく余裕のない方」も「社宅、官舎」(25.9%)で最も多い。つまり二極化傾向が強いという結果に。
共働き妻の世帯金融資産別に見た居住形態の分布
最後に、世帯金融資産と居住形態の関係を見てみます。
世帯金融資産が多い方が持ち家率は高い傾向はあるものの、必ずしも比例関係にはないことが分かります。
金融資産が5,000万円以上の層では持ち家(一戸建て)が多いのは事実ですし、準富裕層(定義はこちらを参照)ともいえる層なので大きな家を建てていることも想像されます。
一方で、賃貸率は2,000~3,000 万円(31.0%)でも高くなっています。また、3,000~5,000 万円では「社宅、官舎」(5.9%)が最多です。賃貸でも資産形成はできますし、「社宅、官舎」住まいだと住居費が安くなって結果的に資産形成がし易いということが考えられますね。
まとめ
- 妻の年収と世帯金融資産、経済的余裕感は比例するが、これらと持ち家かどうかは必ずしも比例関係にはない。
- 家を所有していることよりも、安定した収入や多くの金融資産がある方が、経済的余裕感を高める。